遺言
遺言とは、大切な人への最後のメッセージ。
遺言には、①争いを未然に防げる、②相続手続の負担が軽減される、③自分の希望をかなえたり、考えを伝えたりできる、と言ったメリットがあります。
まず①については、「うちは財産は多くないから大丈夫」と言ったお話しをよく伺います。確かに、皆さんで仲良く話し合い、思いやってまとまれば、何も問題無いと思います。
しかし、相続人の間で遺産分割協議がまとまらず、家庭裁判所で調停が成立したケースは、遺産額1000万円以下が約30%、5000万円以下が約45%にものぼるそうです(最高裁判所平成22年度の統計による)。
つまり、全体の約75%は概ね相続税のかからない範囲の財産なのに、家庭裁判所の調停を利用するところまで揉めてしまった訳ですから、やはり準備しておくに越したことはありません。
また②については、相続財産の調査・印鑑証明など各種書面の収集などの手間を減らすことができたり、銀行口座が凍結された際の手続きが簡単になったりするので、相続人の負担を減らすことができます。
そして何と言っても③です。
法定相続では割合だけしか定められていませんが、遺言ではどの財産を誰に遺すか具体的に指定することが可能ですので、同居している配偶者や子供には不動産を、離れて暮らす子供には預貯金を、と言うように、家族の状況や自分の意志に合わせて内容を決めることができます。
また、付言事項として、遺産配分の理由はもちろん、家族への感謝など、自分の考えや想いを伝えることもできます。
その他にも、遺言書を作成すると、多くのメリットがあります。
遺言書があれば | 遺言書がないと |
・遺言書により、速やかに財産を取得できる ・遺言にしたがった財産の処分も可能 ・預貯金も引き出せる⇒入院費用や葬儀費用の支払い、 相続税の納付に遺産を当てられる |
・遺産分割協議・調停・審判と、 多くの時間・労力・費用が掛かることも ・遺産分割が終了するまで、財産の処分か困難 ・預貯金の引き出しも面倒⇒入院費用や葬儀費用の支払い、 相続税の納付に遺産を当てられないことも |
法定相続分とは異なる相続も可能 ・妻に多く遺したい ・老後の面倒を見てくれた子に多く遺したい ・同居の子に自宅を相続させたい ・一定金額を慈善事業に寄付したい ・ペットのために財産を遺したい など⇒自分の希望する相続が実現できる |
法定相続分による遺産分割になると ・自宅を売却して遺産分割せざるを得なくなり、住む家がなくなった ・事業用の財産も分割され、事業経営がうまくいかなくなった ・自分の意図しない法定相続人に遺産が渡ってしまった など⇒自分の希望しない結果となる場合がある |
遺言者の意思を尊重することで、いらぬ争いが起こりにくい | 相続人同士の関係は良好であっても、その配偶者や親戚など多くの人の思惑が絡むと、争いが起こりやすい |
これからの人生をより充実させ、自分らしく生きるために、遺言をしてみてはいかがでしょうか。